光導波路とボード内光配線の重要性|次世代データセンター向け技術
高速・低遅延の光通信を支える光導波路技術とは?
データセンターやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野での高速データ通信の需要が急増する中、**光導波路(Optical Waveguide)**は不可欠な技術となっています。特に、**ボード内光配線(On-Board Optical Interconnects)**は、シリコンフォトニクス(Silicon Photonics)を活用した次世代通信技術として注目されています。本記事では、光導波路の基本概念から最新技術、そして白山の光導波路ソリューションについて解説します。
光導波路とは?~ボード内光配線の役割と利点~
光導波路の基礎
光導波路は、光信号を特定の経路で伝送するために設計された光学材料で構成され、従来の電気配線に比べ低遅延・低損失・高帯域という大きな利点があります。
光導波路のメリット
- 超高速データ伝送:100Gbps以上の光信号伝送が可能
- 低消費電力:電気配線と比較してエネルギー効率が向上
- EMI(電磁干渉)フリー:電波障害を受けにくく、安定した通信を実現
- 小型化・高密度化:シリコンフォトニクス技術との組み合わせにより、さらに高集積なデータ通信が可能
製造技術と光導波路の種類
光導波路は、以下の技術を用いて製造されます。
- フォトリソグラフィー:シリコン基板上に微細な光導波路を形成
- インプリント法:ポリマー材料を用いた低コスト・高精度の光導波路作成
- モスキート法(Mosquito Method):
3次元ポリマー光導波路形成技術(慶應義塾大学 石榑研究室による開発)
ボード内光配線とシリコンフォトニクスの活用
ボード内光配線の重要性
従来の電気配線では、データ速度が100Gbpsを超えると信号劣化が顕著になり、消費電力の増加が課題となります。**Co-Packaged Optics(CPO)やOn-Board Optics(OBO)**などの技術を活用することで、ボード内での光配線が可能になり、電力効率と帯域幅の向上が期待されています。
シリコンフォトニクスと光導波路の組み合わせ
シリコンフォトニクスは、半導体プロセス技術を活用して光導波路と電子回路を一体化できる技術であり、次世代データセンターやAIインフラに不可欠な要素です。
主な応用分野
- データセンターの内部配線(光スイッチング、光ファイバー接続)
- AIアクセラレータ間の光通信(低遅延・高帯域の光相互接続)
- 光量子コンピューティング(量子通信向けの導波路技術)
白山の光導波路技術|PMTコネクタとモスキート法
PMTコネクタと光導波路フィルム
白山は、PMTコネクタを活用し、ボード内光配線の高信頼性化を実現しています。このコネクタは、光導波路フィルムと組み合わせることで、狭ピッチかつ低損失な光配線を可能にします。
PMTコネクタは、多心光コネクタの主要部品であるMTフェルールと類似した形状を採用しており、MTフェルールとの高い接続互換性を備えています。
この特長により、光導波路と光ファイバーのシームレスな接続を実現し、高速・低損失な光通信を可能にします。

モスキート法による光導波路形成
白山は、慶應義塾大学と連携し、モスキート法を活用した3次元光導波路を開発しています。この技術は、以下の点で優れています。
- 高密度実装:狭ピッチ光配線を実現。
- エッジカップリング対応:シリコンフォトニクスチップ-光ファイバー間との接続が可能。
- 3次元光配線:多層構造のボードやチップ間を垂直方向にも配線できるため、従来の2次元的な光配線設計の制約を超えられる。
モスキート法は、ディスペンサーと多軸ロボットを用いて、自由な形状の光導波路を作成することができます。特に、狭ピッチやエッジカップリング技術と組み合わせることで、さらに高密度なボード内配線が可能になります。
まとめ
光導波路技術は、データセンターやAIインフラにおける低遅延・高帯域・低消費電力化を実現するキー技術です。特に、シリコンフォトニクス技術との組み合わせにより、従来の電気配線の限界を克服し、新たな通信インフラを構築することが可能になります。白山は、PMTコネクタやモスキート法を活用し、次世代のボード内光配線技術を開発しています。
光回路基板等を手がける企業にとって、最適な光導波路ソリューションを提供するパートナーとして、今後も技術革新を続けていきます。
参考リンク
・Mosquito Method / Takaaki Ishigure (Info-Optics Laboratory)
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