SPDのキホン – 分離器 とは?
SPD(サージ防護デバイス)は、電気システムを過電圧から防護するためのデバイスです。
この記事では、SPDの基本的な概念と、保護装置である分離器について詳しく説明します。
▷SPDのキホンについて知りたい方は、前回記事『いまさら聞けないSPDのキホン』へ
1. SPDの重要性
電気システムは、雷や電源の変動などの外部要因によって過電圧を受ける可能性があります。
このような過電圧は、電気機器の故障やシステムダウンを引き起こす可能性があります。
SPDは、これらのリスクを軽減するための重要なツールとなります。
2. 分離器の役割
分離器の役割は、どのようなものなのでしょうか?
仕様を超える雷サージが流れた場合や、繰り返し雷サージを処理することで、SPDは劣化します。
その結果、最終的に故障に至ります。
劣化したSPDに、短絡(ショート)電流が流れた場合、発熱・発火リスクがあります。
そのため、劣化したSPDを電源から速やかに切り離す分離器が必要です。
3. 分離器の種類
分離器にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる機能と特性を持っています。
SPD分離器では、劣化時の発熱保護機能として熱切り離し機構、短絡故障時の過電流保護機能の両方が使用されます。
熱切り離し機構は、SPDが異常発熱した際に、物理的に回路を遮断する機構のことです。
ほとんどのSPDの内部に備えられています。
この機構は、SPDへ想定内の繰り返しサージが通電したことによる漏れ電流増加を意図して設計されたものです。
一方、過電流保護機能は、過大なサージや一時的な交流過負荷でSPDが瞬間的に短絡する故障モードに対応する分離器です。
4. 分離器に求められる性能
配電盤に設置されたSPD、その分離器に求められる性能は、保護すべきSPDが正常に機能している場合、故障している場合で異なります。
SPDが正常な状態の場合、SPDの能力を最大限発揮させるため、SPDの仕様以上の雷サージを通過できることが求められます。
一方、SPDが故障しているとき、故障時の短絡電流を安全かつ瞬時に遮断することが求められます。
つまり、SPDの雷防護素子の発熱・発火を抑制し、また、上位遮断器より早く動作することでシステム全体の停電を防ぎます。
5. 分離器内蔵SPDと外部分離器の比較
ここでは、今まで外部に接続されることが多かった、過電流保護機能に対応した分離器について説明します。
分離器内蔵SPD:
- メリット:
インストールが簡単で、外部部品が不要。コンパクトな設計のため、スペースの制約がある場所に適しています。 - デメリット:
分離器の交換やメンテナンスが困難になる場合がある。
外部分離器:
- メリット:
分離器のメンテナンスや交換が容易。カスタマイズが可能で、特定の要件に合わせて調整できる。 - デメリット: インストールが複雑になる場合があり、追加のスペースや配線が必要になることがある。
6. SPDの選択
SPDを選択する際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。
これには、電気システムの容量や使用される電気機器の種類、および故障に対するリスクレベルなどが含まれます。これらの要因を考慮して、最適なSPDと分離器を選択することが重要です。
7. SPDのメンテナンス
SPDには定期的なメンテナンスが必要です。
定期的な点検と交換を行うことで、SPDの性能を維持し、電気システムの安全性を確保することができます。
8. まとめ
SPDは、電気システムを過電圧から防護するための重要なデバイスです。
分離器は、短絡電流による発熱・発火リスク抑制のため、劣化したSPDを電源から速やかに切り離す重要な役目を果たしています。
適切なSPDと分離器の選択、および定期的なメンテナンスにより、電気システムの安全性と信頼性を確保することができます。
▷雷の被害実態について知りたい方はこちらへ(日本雷保護システム工業会)
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