CMF(セラミック多心フェルール)とは?新たな光接続ソリューション
CMF(セラミック多心フェルール)の特長とは?
~CPOに求められる3つの特徴~
CMF(Ceramic Multi-Fiber Ferrule、セラミック多心フェルール)は、データセンターやAIクラスターの光通信ネットワークにおいて革新的な役割を果たす技術です。特に、Co-Packaged Optics(CPO)や高密度光接続が求められる環境において、耐熱性、小型化、高精度な接続性能の3つの特長で他のフェルールとは一線を画しています。
CPO(Co-Packaged Optics)の導入が求める光コネクタへの要求とは?
CPO(Co-Packaged Optics)は、ネットワーク機器内のASIC(Application-Specific Integrated Circuit)と光モジュールを同一基板上に配置する技術です。この技術により、信号伝送の遅延を低減し、消費電力を削減できます。しかし、CPOを実現するためには、基板への実装時に260℃以上の高温環境に耐える光コネクタが必要です。
従来のプラスチック製フェルールは、リフロー工程での高温に耐えられず、変形やファイバピストニングが発生し、接続品質が劣化するという課題がありました。その課題に対応するため、私たちは「耐リフローMTフェルール – MTHR®」のほかに、CMF®の開発を行っています。

CPOに求められる3つの特徴
CMFの高い耐熱性:260℃の高温環境にも耐える理由
従来の熱可塑性樹脂製の多心フェルール(MTフェルール)は、リフロー工程(基板に部品を実装する際の高温加熱工程)において260℃以上の温度に耐えることが難しく、フェルールの変形や「ファイバピストニング」と呼ばれる光ファイバの突き出し量の変動が発生していました。しかし、CMFはセラミックス素材を使用しているため、これらの問題を克服。高温でも形状変化を起こさず、パフォーマンスの劣化がないことが実証されています。
小型化に対応したCMFの魅力:狭小スペースでも高性能を実現
CMFは、従来のMTフェルールと同じ接続インターフェースを持ちながら、フラット研磨や斜め研磨用等の用途に応じて、厚さ0.5mmから1.2mmまでカスタマイズ可能なコンパクト設計を実現しています。特に、CPOや高密度配線が必要なデータセンター内の狭いスペースでも、光ファイバ接続を効率的に行うことができます。小型化と高密度化の両立により、データセンターのスペース効率を最大化し、コスト削減にも寄与します。なお、高さや幅に関するカスタマイズも可能となります。
高精度な接続性能で安定した光通信を提供するCMFの技術力
CMFは、光ファイバの軸ずれを最小限に抑える設計を採用しています。軸ずれが光通信の損失(挿入損失、IL)を引き起こす主要な要因である中、CMFはIL(Insertion Loss : 接続損失)を0.7dB以下(標準シングルモードレベル)に維持することが可能です。安定した光通信品質を提供できることが確認されています。
CMFの実証結果
耐熱テストで証明!CMFのファイバ孔位置変動が極小の理由
CMFの実証実験では、260℃の高温環境に3時間さらした後でも、ファイバ孔の位置変動は極めて小さく、フェルールの変形が全く見られませんでした。また、これにより高温環境下でも安定した光ファイバ接続が可能であることが実証されました。
ファイバピストニングを防ぐCMFの設計:MTフェルールとの違いとは
ファイバピストニングとは、リフロー工程中に光ファイバが後退し、物理的接触が失われる現象です。MTフェルールではこれが顕著に見られ、接続損失の増加や接続不良の原因となります。しかし、CMFでは接続端面からのファイバ高さも規格(1000nm〜3500nm)の範囲内に収まり、ファイバピストニングが発生しないことが確認されています。
まとめ:CMF(セラミック多心フェルール)で光通信ネットワークを強化しよう!
CMF(セラミック多心フェルール)は、次世代の光通信システムにおいて求められる「耐熱性」「小型化」「高精度接続」を全て実現した革新的な技術です。特に、CPO(Co-Packaged Optics)の導入を進めるデータセンターやAIクラスターにおいて、CMFは他の選択肢に比べて圧倒的な優位性を持っています。
また、CMFは高温で長時間の信頼性が求められる航空宇宙等の光通信用途への適用も期待されています。CMFはまだ開発中ではありますが、サンプル提供は可能となります。
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